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29

2022-05

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2022-05-29
市場予測
確率的には「下値警戒までは高まっていないが、上値期待は後退」といった印象
※今週から6月末、7月末の確率でお伝えします

 今週のドル円は先週の流れを引き継ぎ、更に上値が重くなっている。127円には強い下値抵抗も観測されていたが、その水準をブレイクし、ストップを巻き込んで126.35円付近まで下落する場面が見られた。その後、買戻しが入るものの、127円台での戻り売り圧力も強まっている印象だ。

 確率は上値期待を後退させている。129円と124円に着目すると、来週以降6月末までに129円に一度でも到達する確率は前週の80.1%から50.8%に低下。一方、124円の確率も42.1%から39.2%に低下した。

 確率的には「下値警戒まではまだ高まっていないが、上値期待は後退」といった印象だ。

 今週はFOMC議事録がポイントの1つであったであろう。それを通過して、市場はドル高期待を一層低下させたものと思われる。議事録では、大半のメンバーが次回6月と7月の2回の0.50%ポイントの大幅利上げを支持していることが明らかとなった。その一方で、迅速に利上げを実施すれば、年内にその効果を見極める上で好位置につけることができると判断していたことも明らかになっている。

 これまでFOMCメンバーは利上げに積極的な発言が多かったが、一部のメンバーからは、9月に利上げを実施した後は一旦様子を見て、情勢を評価しても良いのではとの意向も示されていた。そのため市場も今回の議事録を敏感に感じ取ったのであろう。FRBの積極利上げを材料にしたドル買いは一旦中断と判断したのかもしれない。ここに来て周回遅れだったECBが利上げに着手しそうな気配が高まっており、ユーロが買い戻されていることも、きっかけとなっている可能性もありそうだ。

 目先は9月FOMCがポイントであろう。FRBはインフレは抑制したいが、リセッション(景気後退)は避けたい。今回の利上げサイクルで米株式市場や住宅市場に明らかに影響が出ている。引き締めが行き過ぎると、経済のバランスを崩す可能性もあり、より丁寧に臨みたくなっているのかもしれない。

 具体的には6月、7月のFOMCは0.50%ポイントの大幅利上げを実施。政策金利は1.75-2.00%に到達する。9月については通常の0.25%ポイントの利上げに留めれば、政策金利は2.00-2.25%に到達。中立金利は2.25-2.50%程度がコンセンサスだが、それ近くまで引き上げて、11月、12月をどうするか、経済指標を確認しながら判断するのかもしれない。夏から秋にかけて期待通りに、米インフレ指標にピークアウト感が出れば、利上げサイクルは一旦停止。そうでなければ、0.25%ポイントずつ続けるといったシナリオが現段階では有力視される。

 なお、CMEがFF金利先物の取引から算出しているFEDウォッチでは、年内の利上げサイクルの一旦停止まではまだ織り込んでいない。現段階では6月、7月に0.50%ポイントの大幅利上げを実施した後は9月、11月、12月と0.25%ポイントずつの利上げの確率を最も有力視している。

 ドル円については、ドル売りの下押し圧力がかかりそうだが、一方で景気後退への不安も後退し、株高・円安でドル円の下値は支えられ、こう着のシナリオも留意される。

 また、日銀は当面動きそうにない。ただ、個人的には日銀はベストポジションにあると思われる。日本もインフレの波が押し寄せてはいるが、物価のボラティリティが落ちているとでも表現すれば良いのであろうか、数字的には欧米と比較すれば明らかに落ち着いており、日銀が引き締めを迫られる状況にはまだない。ゆっくりと欧米など世界情勢を監視していれば良い状況だ。

◆来週以降6月30日までに各ポイントを1度でも付ける確率
()は先週末
132円:16.3%(36.8%)
131円:26.3%(49.2%)
130円:40.2%(63.7%)
129円:58.0%(80.1%)
127.11円(週末終値)
124円:39.2%(42.1%)
123円:25.3%(30.7%)
122円:15.2%(21.5%)

◆来週以降7月29日までに各ポイントを1度でも付ける確率
()は先週末
132円:30.4%(47.3%)
131円:40.9%(58.3%)
130円:53.5%(70.6%)
129円:68.2%(84.0%)
127.11円(週末終値)
124円:55.0%(54.2%)
123円:42.4%(43.9%)
122円:31.5%(34.6%)

※ドル円のオプション取引から算出

MINKABU PRESS編集部 野沢卓美

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